私が「骨巨細胞腫」と診断されたのは、ある日突然やってきた“違和感”がきっかけでした。 痛みは徐々に強くなり、歩くのもつらくなっていきました。 検査を重ねた結果、腫瘍は思っていたより大きく、すぐに手術できる状態ではありませんでした。
そこで選ばれたのが「ランマーク(デノスマブ)」という注射。 3か月ほど治療を続け、腫瘍が少し小さくなったタイミングで、ようやく手術に進むことができました。
骨巨細胞腫は原因がはっきりしておらず、専門的な治療が必要なため、手術できる病院も限られています。 そんな中で私が経験した治療の流れや気持ちが、同じ病気で悩む誰かの助けになればと思い、この記事を書くことにしました。
診断までの流れと症状
私が最初に異変を感じたのは、腰の痛みで走れなくなったことでした。 しばらく様子を見ていたものの、ある日突然ぎっくり腰のような強い痛みに襲われ、これはおかしいと思い病院を受診しました。
レントゲンやCTで詳しく調べた結果、腰椎に腫瘍のような影があると言われ、すぐに精密検査を受けることに。 その後、MRI・CT・PET検査、そして生検(病理検査)を行い、最終的に 「骨巨細胞腫」 と診断されました。
ただ、診断時点で腫瘍はかなり大きく、 「このままでは手術ができない」 と医師から説明を受けました。
そこで選択されたのが、腫瘍を小さくするための ランマーク(デノスマブ)注射。 3か月ほど治療を続け、腫瘍が少し縮小したタイミングで、ようやく 「手術が可能」 との判断が出ました。
なお、骨巨細胞腫ができた原因は 不明 で、専門的な治療が必要なため、手術できる病院も限られているとのことでした。
骨巨細胞腫とは何か
骨巨細胞腫(こつきょさいぼうしゅ) は、骨にできる腫瘍の一つで、良性と悪性の間に位置づけられる “中間悪性腫瘍” と呼ばれています。 若い世代にも起こりやすく、特に膝や腰などの大きな関節の近くにできることが多いそうです。
腫瘍が大きくなると、私のように痛みで歩けなくなったり、日常生活に支障が出ることがあります。 また、再発しやすい特徴があるため、治療には専門的な知識と経験が必要で、手術できる病院が限られていると言われました。
骨巨細胞腫ができる原因は、現在のところ はっきりとは分かっていません。 私の場合も、生活習慣やケガなど思い当たる理由はなく、突然の痛みから始まりました。
診断を確定するためには、MRI・CT・PETなどの画像検査に加えて、生検(病理検査)が必要になります。 これらの検査を経て、私も正式に「骨巨細胞腫」と診断されました。
ランマーク(デノスマブ)治療を選んだ理由
私が「骨巨細胞腫」と診断された時、腫瘍はすでに大きく、 「このままでは手術ができない」 と医師から説明を受けました。 まずは腫瘍を小さくして、手術が安全に行える状態にする必要がありました。
そこで提案されたのが、ランマーク(デノスマブ) という薬です。 骨巨細胞腫の細胞の働きを抑えて、腫瘍を縮小させる効果が期待できる治療だと説明されました。
ランマークは二の腕に打つ筋肉注射で、私の場合は毎回そこに注射してもらっていました。 痛みは思っていたより強くなく、普通の注射と同じくらいの痛さで、治療の負担はそこまで大きくありませんでした。
3か月ほど注射を続け、定期的に画像検査を受けながら経過を見守りました。 治療を続ける中で、少しずつ痛みが軽くなっていくのを自分でも実感しました。 走れないほどの痛みや、ぎっくり腰のような強い痛みが和らいでいき、 「もしかしたら手術に進めるかもしれない」という希望が見えてきた時期でもありました。
そして治療開始から約3か月後、腫瘍は縮小し、医師から 「これなら手術ができる」 という判断が出ました。 その瞬間は、本当にほっとしたのを覚えています。
骨巨細胞腫は原因が分かっておらず、治療にも専門性が必要なため、治療方針の決定には慎重さが求められます。 その中でランマーク治療は、手術へ進むための大切なステップでした。
手術を決断した理由と気持ち
ランマーク治療を続けて3か月。 画像検査の結果、腫瘍は少しずつ縮小し、医師から 「これなら手術ができます」 と言われた瞬間、胸の奥がふっと軽くなるような感覚がありました。
診断された当初は、腫瘍が大きすぎて手術ができないと言われ、 「この先どうなるんだろう」 という不安が常に頭の中にありました。 だからこそ、手術に進めると聞いた時は、安心と同時に、ようやく前に進めるという気持ちが強く湧いてきました。
とはいえ、手術は決して軽いものではありません。 骨巨細胞腫は専門性の高い治療が必要で、手術できる病院も限られていると聞いていたため、 「本当に大丈夫だろうか」 という不安も正直ありました。
それでも、痛みが少しずつ減ってきたこと、腫瘍が縮小してきたこと、 そして医師が慎重に判断してくれたことが、手術を決断する大きな後押しになりました。
手術前の説明を受けながら、 「怖いけど、この一歩を乗り越えないと前に進めない」 そんな気持ちで覚悟を決めました。
手術当日の流れ
手術の前日には、まず 塞栓術(そくせんじゅつ) を受けました。 これは腫瘍に流れる血管をあらかじめ塞いでおく処置で、手術中の出血を少なくするための大切なステップだと説明されました。
処置自体は無事に終わったものの、その日の夜、数分立っているだけで急に貧血のようになり、倒れてしまいました。 塞栓術の後は体への負担が大きいのか、思っていた以上にふらつきやすく、 「前日はできるだけ安静にしておくほうがいい」 と身をもって感じた瞬間でした。
そして迎えた手術当日の朝。 前日の疲れや不安が残っていて、気持ちは落ち着かないまま。 絶食ではあったものの、私の場合は手術前に点滴はありませんでした。 そのため、体のだるさや空腹感を抱えながら、静かにその時を待っていました。
看護師さんに呼ばれたあと、手術着に着替える必要はなく、病棟の服のまま、 自分の足で歩いて手術室の前まで移動しました。 歩くたびに緊張が高まっていくのを感じながら、 「ここまで頑張ってきたんだから大丈夫」 と自分に言い聞かせていました。
手術室の前に着くと、そこでベッドに移り、スタッフの方々に囲まれながら手術室へ。 明るい照明と機械の音がして、一気に緊張が高まりました。
麻酔科の先生が優しく声をかけてくれ、 「麻酔入れますね」 と言われたのを最後に、約10秒後に意識が遠のいていきました。
次に目が覚めた時には、翌朝になっており、すでに手術は終わっていて、 腰には強い痛みと重さがありましたが、 「無事に終わったんだ」 という安心感が胸いっぱいに広がりました。
術後1〜3日目のリアル
術後1〜3日目はずっとベッド上安静で、体調はインフルエンザのような全身のだるさが続き、熱っぽさや少し気持ち悪い感じもありました。動くことはほとんどできず、寝返りすらつらいほどで、ただ横になっているだけでも体力が削られていくような感覚でした。
お風呂には入れないため、看護師さんが清拭で身体を拭いてくれますが、頭は洗えないので次第にかゆくなり、ベタついてくるのが地味にしんどかったです。早くシャワーを浴びたい気持ちがどんどん強くなりました。
トイレはバルーンカテーテルが入っているので尿は何もしなくてよく、排便については“おまる”のような容器を使う形になると説明されていましたが、私は術後しばらく便意がなかったため、実際に使うことはありませんでした。
とにかく体も心もきつい3日間でしたが、「ここを越えれば少しずつ動けるようになる」と自分に言い聞かせながら、ひたすら休む時間でした。
リハビリ開始〜退院まで
術後1週間ほど経つと、ようやくコルセットが完成し、コルセットをつけて起き上がる練習が始まりました。まずはベッドから体を起こして、車いすに座るところからスタート。最初は座っているだけで貧血のようにフラッとしてしまい、リハビリの先生からは「なるべく車いすに座る時間を増やして、体を慣らして血を巡らせていきましょう」と言われました。
そこからしばらくは、車いすに座ったまま行うリハビリが中心でした。足を動かす軽い筋トレをしたり、電気を流して筋肉を刺激したり、とにかく“動ける部分を動かす”ことを積み重ねる日々。最初はほんの少し動かすだけでも疲れてしまったけれど、続けるうちに体が少しずつ反応してくれるのが分かりました。
その後、車いすから歩行器を使った歩行練習へステップアップ。立ち上がる瞬間は腰にズンと重さがきて怖かったけれど、歩行器に体を預けながらゆっくり数歩進めた時は、思わず「歩けた…」と胸が熱くなりました。
さらに日が経つと、歩行器から杖2本での歩行へ移行。まだ不安定で慎重に歩く必要はあったものの、「自分の足で前に進んでいる」という実感が戻ってきて、気持ちが大きく前向きになりました。リハビリ内容は、歩行練習、筋トレ、電気治療の3本柱で、毎日少しずつできることが増えていくのが励みになりました。
こうして約2か月ほど入院し、状態が安定してきたタイミングで地元の病院へ転院。そこからも継続してリハビリを続ける生活が始まりました。長い道のりではあったけれど、確実に一歩ずつ前に進んでいるのを感じられる期間でした。
今の状態と、同じ病気の人へのメッセージ
今は、手術直後のような強い痛みは落ち着き、杖を使いながらではあるけれど、日常生活の中でできることが少しずつ増えてきました。まだ完全に元通りというわけではなく、痛みや疲れやすさが残る日もあるけれど、あの頃の「数歩歩くだけで精一杯だった自分」と比べると、確実に前に進めているのを感じています。
リハビリは地味で、思うように体が動かない日もあって、心が折れそうになることもありました。 でも、ほんの少しでも「昨日よりできたこと」があると、それが大きな励みになりました。 回復は一気に進むものではなく、本当に小さな積み重ねの連続なんだと実感しています。
もし、今まさに手術やリハビリで不安を抱えている人がいたら、伝えたいことがあります。 それは、 「焦らなくていいし、比べなくていい。あなたのペースで大丈夫」 ということ。
動けない日があっても、痛みで泣きたくなる日があっても、それは“回復が止まった”わけじゃない。 体はちゃんと頑張っていて、時間をかければ必ず変化していきます。
私自身、ここまで来るのにたくさんの時間がかかったけれど、 今は「生きていること」「歩けること」「外に出られること」が前よりずっと特別に感じられます。
同じように頑張っている誰かの心が、少しでも軽くなりますように。 そして、あなたにも必ず“できるようになる日”が来ると信じています。